日常にフィットするヘルメットバッグを求めて──「CITY PLUS / The Helmet」開発秘話

1990〜2000年代のヘルメットバッグを再構築した「CITY PLUS / The Helmet」。オリジナルの独特なフォルムや機能性を活かしながら、UNTRACKならではの素材選びやディテールへのこだわりを注ぎ込み、日常で使える新しいヘルメットバッグが完成しました。その開発までの歩みをお届けします。

バッグブランドを名乗るからには、一度は手がけておきたかったアイテムがヘルメットバッグでした。私自身、1969年製のヘルメットバッグを使っていて、その無骨さや佇まいに魅了されていたのですが、よく見れば世の中には同じようなデザインのものがすでに溢れていて。だからこそ、自分たちにしかできないアプローチで、このアイテムをアップデートできないかと考えました。

そこで辿り着いたのが、1990年代から2000年代初頭にかけて米軍のヘリクルー用に採用されていた「HGU-56/U」というモデル。これは従来の70〜80年代のものと比べて、マチ幅がしっかりあって収納力が向上していたり、背面ポケットやショルダーベルトが追加されていたりと、機能性が進化しているヘルメットバッグです。バッグとしてもファッションとしても、すごく可能性のあるフォルムだと感じ、このモデルをベースに開発をスタートしました。

「CITY PLUS / The Helmet」は、そんな“進化したヘルメットバッグ”をさらに現代的にアレンジしたアイテムです。最大の特徴は、オリジナルモデルの魅力を尊重しながらも、街で自然に持てる仕様にした点。たとえば外装には、カモフラージュ柄ではなく、ソリッドな表情の機能素材「ディクロスソロ」を採用。タフでありながら上品な見た目を両立しています。

 サイズをひとまわり小さくし、持ち手にはしっかりとしたレザーを用いることで、長く使える耐久性と高級感をプラスしました。また、内装にPC用スリーブを設けるなど、現代のビジネスシーンでも使えるように再構築している点もポイントです。サイドのフラップポケット&ペンホルダーや、フロントと背面ポケットに施されたジャンパーホックなど、元のミリタリー仕様の要素も可能な限り再現。

さらに、当時の軍用バッグに見られた“語れるディテール”も意識しています。たとえば、本来ワッペンを貼るための背面の面ファスナーや、ワイヤーに引っ掛けるためのバックル。日常生活での使い道が明確ではなくてもこういったディテールを残し、その背景を知っていると、ふとした会話のきっかけになったり、持ち主の個性として映ったりする。そういうストーリー性も、UNTRACKが大切にしている要素です。

 ヘルメットバッグは、正直なところ“使いやすさだけ”で言えば決して優れているとは言えないかもしれません。でも、その少しクセのある形や歴史のある背景に、独特な魅力がある。だからこそ私たちは、そこにUNTRACKらしい再解釈を加えて、新しい魅力を持った日常のバッグとして提案したいと考えました。

 「CITY PLUS / The Helmet」は、ミリタリー好きな方にも、ファッションラバーにも、ちょっと人とは違うものを選びたいという方にも、ぜひ知ってもらいたいアイテムです。

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